正直に言うと、第1話の冒頭で、僕の頭には一瞬だけこんな声が浮かんだ。
「おい、勝男!警察官に転職したのか!?」
もちろん冗談だ(笑)
主演の竹内涼真さんが、ひとつ前のドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で演じていた“勝男”の残像が、
ほんの一瞬だけ脳裏をよぎっただけの話だ。
だが、その違和感は驚くほど早く消えた。
なぜなら『再会~Silent Truth~』の彼は、
同じ顔をしていながら、まるで別の時間を生きている人間だったからだ。
表情は抑えられ、声は低く、感情は表に出てこない。
まるで心の奥に、分厚い氷を張った湖を抱えているようだった。
第1話を見終えたあと、僕はすぐにスマホを手に取れなかった。
「面白かった」と言い切るには早すぎて、
「つまらなかった」と切り捨てるには、胸の奥がざらついていた。
それは、
夜道を一人で歩いたあと、しばらく自分の足音が耳から離れない感覚に似ている。
静かなはずなのに、確実に何かが残っている。
それが、この第1話の正体だった。
再会~Silent Truth~第1話の視聴率を、僕はどう受け止めたか
第1話の視聴率は、関東地区で世帯6%台。
数字だけを見れば、「静かなスタート」と言われても仕方がない。
だが、僕はこの数字を見て、むしろ納得した。
なぜならこのドラマは、
最初から“数字に好かれる作り”をしていないからだ。
- 事件の説明を急がない
- 感情をセリフで言語化しない
- 視聴者を安心させる親切さがない
これは、
広く浅く刺すドラマではなく、狭く深く沈めるドラマだ。
視聴率が伸びやすいのは、感情が整理されている作品だ。
一方で、この第1話は、感情を未整理のまま放り出してくる。
数字が伸びにくいのは、ある意味で当然だと思っている。
なぜ第1話は「説明」ではなく「不穏」だけを残したのか
第1話では、多くのことが語られない。
事件の全貌も、
登場人物たちの本心も、
ほとんど輪郭を与えられない。
代わりに置かれていたのは、
- 視線の微妙なズレ
- 言いかけて飲み込まれる言葉
- 過去に触れそうで、必ず逸らされる会話
これを「説明不足」と感じる人もいるだろう。
だが僕は、これは意図的な不親切だと思っている。
人は、説明されなかった感情ほど、
自分の中で勝手に育ててしまう。
第1話の不穏さとは、
脚本が用意した恐怖ではなく、
視聴者が自分で作ってしまう不安なのだ。
セリフが少ない人間ほど、感情は重くなる
このドラマの登場人物たちは、とにかく多くを語らない。
怒っているのか、悲しんでいるのか、
後悔しているのか、それとも諦めているのか。
はっきりとは示されない。
だが、示されないからこそ、
視聴者はそこに自分の感情を流し込んでしまう。
心理学的に言えば、これは「投影」だ。
スクリーンに映っているのは彼らの人生なのに、
気づけば、自分の過去を見せられているような錯覚に陥る。
この構造は、とても危険で、とても強い。
なぜなら一度投影が始まると、
視聴者は物語を「見る側」ではいられなくなるからだ。
視聴率では測れない“不穏さ”の正体を、僕なりに言葉にする
この第1話が描こうとしたのは、事件ではない。
過去を語らないまま、大人になってしまった人間の姿だ。
- 本当は話すべきだったこと
- 黙ってしまったせいで、取り返しがつかなくなったこと
- 時間が経てば忘れると思っていた感情
それらが、
何も言わずに、同じ場所に沈み続けている。
不穏さとは、恐怖演出ではない。
それは、「まだ終わっていない過去」が、今も呼吸している感覚だ。
第1話を見終えたあとに残る違和感は、
物語の問題ではない。
むしろ、
視聴者自身の記憶が、静かに刺激されている証拠だと、僕は思っている。
この第1話は失敗か、それとも“選別”か
第1話を見て、
「何も起きなかった」と感じた人は、決して間違っていない。
だが、このドラマは、
最初から全員に寄り添うつもりがない。
沈黙に耐えられるか。
説明されない感情を抱えたまま、次も見る覚悟があるか。
それを、静かに試している。
だから僕は、この第1話を
失敗ではなく、選別だと考えている。
心地よさを求める視聴者は、ここで離れる。
違和感を抱えられる視聴者だけが、残る。
それは冷たい判断だ。
だが同時に、とても誠実な作りでもある。
まとめ|このドラマは、静かに人を選ぶ
『再会~Silent Truth~』第1話は、静かなドラマではない。
静かなふりをして、心の深いところを叩いてくるドラマだ。
視聴率では測れない不穏さ。
それは、あなたの中にある“終わっていない感情”が、
そっと反応してしまった証拠なのかもしれない。
次回、沈黙は少しずつ言葉を帯びる。
だがその分、きっと
逃げ場はなくなっていく。
本当に怖いのは、事件じゃない。
思い出したくなかった過去と、もう一度向き合うことだ。
※本記事はドラマの放送内容をもとにした考察です。公式発表・報道を基準としつつ、演出・心理描写については筆者(umine)の解釈を含みます。



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