「あの星が降る丘で君とまた会いたい」——結末と深読み（ネタバレあり）

※ネタバレ注意：結末・核心の描写を含みます。8月9日の金曜ロードショーで鑑賞し、
感動したため多くの方に共有したくまとめました。

映画版の筋（映画で描かれた事実を中心に）

主人公の百合（福原遥）は進路や家庭に悩む現代の女子高校生。衝動的に外へ飛び出した夜、
古い防空壕で目覚めるとそこは1945年の日本──太平洋戦争末期の世界でした。そこで出会った青年・佐久間彰（水上恒司）と、食堂の女将ツル（松坂慶子）や若者たちと日々を共にするうちに、百合は次第に彰へ惹かれていきます。

物語の流れ（要点）

1. 出会い — 百合と彰の距離感が静かに育つ。
2. 戦時の現実と葛藤 — 食料不足、空襲、出撃待ちの若者たちの影。
3. 百合の覚悟と愛情 — 戦争の無意味さを知る百合が、彰を止めようとするも状況は変えられない苦悩。
4. 再会と選択 — 現代に戻り、時間を経た再会ののち、過去を背負いつつ「今」を選ぶ決断へ。

結末（核心の描写）

映画は、百合と彰の関係を“救済”で終わらせるのではなく、過去と現在の価値の連続性をどう生きるかを描きます。
百合は彰への想いと、戦時に引き裂かれた“選択の自由”を見つめ直し、最終的に「過去の事実を受け止めた上で、現在をどう生きるか」を選び取る道を選びます。
その選択の描写には、情緒的なクローズアップと沈黙の時間が多用され、言葉の説明よりも映像的な余韻が強く残ります（映画版のラストは“再会”を通じた和解と更新 を示すものです）。

映画で注目するポイント（演出・役者）

• 福原遥の演技：高校生の不安定さと、戦時の異物感に晒された心情を繊細に表現。
• 水上恒司（佐久間彰）：静かな誠実さと儚さを併せ持つ演技が物語の芯になる。俳優の素の存在感が効いている。
• 映像美：丘やユリ、夕景のカットなど“モチーフ”の反復が感情の補助線となり、観客の記憶に残る。
• 音響と余白：セリフを抑えた箇所に音楽が差し込むアレンジで、感情の余韻を増幅させる作り。

映画版と小説版の差（具体的に）

共通点：核となるプロット（現代の若者が過去に関わる／特攻隊員との因縁と恋情）は一致します。

主な違い（映画化に伴う取捨選択）

• 内面描写の深さ：小説は文章で心の揺らぎを丁寧に追い、読者に登場人物の脳内時間を与えます。映画は限られた上映時間のなかで映像的な“詩”に変換するため、内面は表情・間・象徴で表現され、詳細な心理説明は省略されます。
• サブプロットの整理：小説にある脇役の細かな背景や小さなエピソードは、映画では合成・削除されて物語全体のテンポが優先されています。
• 結末の提示の仕方：小説は言葉でより長く余韻を残します。映画は映像で余白を設けつつ、視覚的に“決断”の瞬間を示す傾向があり、受け取り方がやや明示的になることがあります。

サブスク（配信）状況

下は私が主要情報源を照合した結果です。確実に視聴したい場合は、各リンク先で「見放題（サブスク）」か「レンタル（有料）」の表記を最終確認してください。各社の表記は変更されることがありますが、現時点で以下の通り案内されています：

• Amazon Prime Video：見放題配信（Prime会員で追加料金なしで視聴可能と公表）。
• U-NEXT：デジタル配信あり（レンタルまたは見放題の扱いはプランや時期で変動）。
• DMM TV：レンタル配信あり（初回特典ポイントで視聴しやすいケースがあると報告）。
• Hulu / その他大手VOD：一部でレンタル扱い、または配信ラインナップに入っているとの報告あり（プラットフォームごとに表示が異なるため要確認）。

＜確認の仕方＞JustWatchや各公式（配給会社／Amazon / U-NEXT / DMM）で作品ページを検索→「見放題」表記の有無を確認するのが最も確実です。

所感（映画メインの観点で）

映像で表現される「時間の重ね方」が本作の核心です。物語自体は大掛かりなプロットよりも人物の選択を丁寧に追うタイプで、観客は登場人物と共に“問い”を持ち帰ります。
あなたが8/9の放送で心が動いたのは、その「問い」と映像の余白がうまく噛み合ったからだと感じます。原作ファンも、映画から入る方も、どちらもそれぞれ別の余韻を楽しめる良作です。